
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、皮脂の分泌が多い部位に発生する慢性的な皮膚炎で、頭皮・顔・胸・背中などに、赤みやかゆみ、フケのような皮膚の剥がれが現れます。炎症が悪化すると、かさぶたのような厚みのある皮膚ができることもあります。
脂漏性皮膚炎の原因
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌異常と「マラセチア菌(真菌)」の関与が大きく関係しています。
- 皮脂の過剰分泌
- 皮脂が過剰に分泌されると、皮膚のバリア機能が低下し、炎症が起こりやすくなります。
- マラセチア菌(真菌)の増殖
- マラセチア菌は、皮脂を栄養源とする常在菌ですが、増殖しすぎると炎症を引き起こします。
- 免疫異常や体質
- ストレスや疲労
- 免疫力の低下
- アトピー体質
- その他の要因
- ホルモンバランスの乱れ
- 洗顔やシャンプーのしすぎ・逆に洗浄不足
- 栄養不足(ビタミンB群の欠乏)
脂漏性皮膚炎の症状
症状は部位によって異なりますが、共通する特徴として「赤み」「かゆみ」「皮むけ・フケ」があります。
- 頭皮の脂漏性皮膚炎
- フケが多くなる(白い粉状や黄色っぽい皮脂性のフケ)
- かゆみがある(強く掻くと炎症が悪化)
- 赤みや皮膚の剥がれ
- 顔の脂漏性皮膚炎
- 鼻の横・眉間・額に赤みと皮むけ
- Tゾーンが脂っぽくなる
- 目の周りや耳の付け根にも症状が出ることがある
- 胸や背中の脂漏性皮膚炎
- 皮脂が多い部分に赤みやかゆみ
- 皮膚がベタつく感じがある
脂漏性皮膚炎の治療方法
脂漏性皮膚炎は慢性化しやすいですが、適切なスキンケアや治療で症状をコントロールできます。
- 外用薬(塗り薬)
- 抗真菌薬(マラセチア菌を抑える)
- ケトコナゾール(ニゾラールクリーム)
- ミコナゾール(フロリード)
- ステロイド外用薬(炎症を抑える)
- 軽症→弱めのステロイド(ロコイド、アルメタ)
- 中等症→中程度のステロイド(リンデロンV)
- 長期使用は避け、炎症が落ち着いたら減量
- ビタミンD3外用薬(カルシポトリオール)
- 炎症を抑える効果がある
- 内服薬(飲み薬)
- 抗真菌薬(イトラコナゾール)(症状が重い場合)
- 抗ヒスタミン薬(かゆみを抑える)
- ビタミンB群(脂質代謝を改善)
- シャンプー・スキンケア
- 抗真菌成分入りのシャンプー(ケトコナゾールシャンプー)
- 洗顔料は低刺激のものを使用
- オイルやクリームの使いすぎに注意(毛穴を詰まらせる原因に)
- 生活習慣の改善
- 食事の改善(ビタミンB群を多く摂取する)
- ビタミンB2(レバー、卵、納豆)
- ビタミンB6(鶏肉、バナナ)
- 睡眠・ストレス管理
- アルコール・油っぽい食事を控える
脂漏性皮膚炎の予防方法
脂漏性皮膚炎の予防方法は以下の通りです。
- 低刺激のシャンプーや洗顔料を使用する
- 皮脂が多くなる部位はしっかり洗浄し、保湿をする
- ストレスを溜めず、規則正しい生活を心がける
- ビタミンB群を意識的に摂取する
まとめ
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌異常とマラセチア菌が関与する慢性皮膚炎です。症状が長引くことが多いですが、適切な治療と生活習慣の改善でコントロールが可能です。