
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)によって発症する皮膚疾患です。子どもの頃に水ぼうそうにかかった人の体内に潜伏していたウイルスが、加齢や免疫力の低下によって再活性化し、発症します。特徴的な症状として、身体の片側にピリピリとした痛みや赤い発疹が出現し、水ぶくれ(疱疹)が帯状に広がることが挙げられます。重症化すると帯状疱疹後神経痛(PHN)として長期間痛みが残ることがあり、特に高齢者は予防ワクチンが推奨されています。
帯状疱疹の原因
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって起こります。
初めて感染したときは水ぼうそうとして発症し、治癒後もウイルスは神経節に潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化して発症します。
帯状疱疹を発症しやすい要因
- 加齢(50歳以上で発症リスクが増加:20代の発症が増えています)
- ストレス・疲労・過労
- 免疫力の低下(がん・糖尿病・自己免疫疾患・免疫抑制薬の使用)
- 紫外線や体調不良
帯状疱疹の症状
帯状疱疹の典型的な症状は、神経に沿って片側に赤い発疹と水ぶくれができ、強い痛みを伴うことです。
- 前駆症状(発症の1〜5日前)
- ピリピリ・チクチクとした違和感や痛みが出る(神経痛のような痛み)
- 体調がすぐれない・倦怠感・発熱を伴うことも
- 発疹・水ぶくれ(急性期)
- 赤い発疹が帯状に現れ、水ぶくれ(疱疹)ができる
- 強い痛みを伴う(ズキズキ・焼けるような痛み)
- 片側にのみ症状が出る(体の左右をまたがない)
- かさぶた・治癒期(2〜4週間)
- 水ぶくれが乾燥してかさぶたができる
- 発疹は治るが、痛みが残ることがある(帯状疱疹後神経痛:PHN)
帯状疱疹の治療方法
帯状疱疹は、早期治療が重要です。発疹が出てから72時間以内に治療を開始すると、症状の重症化や後遺症を防ぐことができます。
- 抗ウイルス薬(飲み薬・点滴)
- バラシクロビル(バルトレックス)
- ファムシクロビル(ファムビル)
- アシクロビル(ゾビラックス)(重症例では点滴治療):発疹が出てから3日以内に服用すると、ウイルスの増殖を抑え、症状の改善が早まるのでお早めの受診をおすすめします。
- 痛みの治療
- 神経痛の鎮痛薬:リリカ・タリージェ・トラムセット
- 一般的な鎮痛薬:ロキソニン・カロナール
- 神経ブロック注射等:痛みが強い場合
- 皮膚のケア
- 抗ウイルス外用薬:ゾビラックス軟膏
- ステロイド外用薬:炎症の軽減
- 帯状疱疹後神経痛(PHN)の治療
- 帯状疱疹が治っても長期間痛みが残ることがあります(PHN)
- リリカ・タリージェなどの神経障害性疼痛治療薬を使用します
帯状疱疹ワクチンの予防接種
帯状疱疹の予防接種は、発症リスクを減らす効果があります。
・50歳以上の方には帯状疱疹ワクチンが推奨されています。
・ワクチンを接種することで、発症率を50〜90%減少させ、帯状疱疹後神経痛(PHN)も予防できます。
帯状疱疹ワクチンの種類は以下の通りです。
- ワクチン:シングリックス
- タイプ:不活化ワクチン
- 予防効果:90%以上
- 接種回数: 2回(2か月間隔)
- 持続期間:10年以上
- 対象者:50歳以上
- 価格:約4万円以上(2回分)
ワクチンの選び方
シングリックスは、高い予防効果と長期的な持続性があるため、50歳以上の方に推奨されます。
帯状疱疹の予防と生活習慣の改善
帯状疱疹の予防と生活習慣の改善は以下の通りです。
- 50歳以上の方はワクチン接種を検討する
- 規則正しい生活で免疫力を維持(バランスの良い食事・適度な運動・ストレス管理)
- 疲労やストレスをためない(免疫力低下を防ぐ)
- 発症後は早めに治療を開始(72時間以内が理想)
帯状疱疹の特徴
帯状疱疹は、免疫力の低下で発症する皮膚疾患で、強い痛みを伴うことが特徴です。
- 早期の抗ウイルス薬治療が重要(72時間以内に開始)
- 50歳以上はワクチン接種で予防可能(シングリックス推奨)
- 帯状疱疹後神経痛(PHN)を防ぐためにも早期治療が大切
まとめ
当クリニックでは、帯状疱疹の治療だけでなく、ワクチン接種も実施しております。ご相談や予防接種をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。